Nothing but you


「明日からやっと休みですね!」
「そうだな・・・今年最後の休みか・・・」
「早いですね・・・」
「そうだな」

カレンダーを見て、石川と岩瀬は呟く。
そして岩瀬は石川へと微笑んで・・・

「今日は一緒にお風呂入りませんか?」
「うん・・・そうだな」
「じゃあ、直ぐに用意しますから!」
「いや・・・一緒にしよう」
「悠さん?」
「二人で準備した方が早いだろう?」

顔を赤らめてそっと呟く石川はとても可愛らしく・・・
岩瀬は理性が吹き飛びそうになるが。ぐっと我慢して・・・

「そうですね・・・」とだけ答えた。

 + + +

-チャプ -

浴室には岩瀬が『これ綺麗じゃないですか?』と言って持ってきたアロマキャンドルが揺らめいていて・・・
久しぶりに、ゆっくりとした時間が流れる湯舟の中で石川は目を閉じて岩瀬の胸へと凭れ掛かっていた。

「悠さん、マッサージしましょうか?」
「え?・・・いいよ、このままで」
「・・・・・」
「基寿だって疲れてるんだから・・・ゆっくり入ろう?」
「悠さん・・・(でも、何かしていないと理性が…)」
「基寿?どうかしたのか?」

下から見上げる顔は完全にオフの顔で・・・可愛らしさも倍増。だった・・・
岩瀬はひっそりと溜息をついて―

「悠さんの髪が洗いたいなー!」
「基寿?」
「今、すっごく悠さんの髪が洗いたいです!!」
「・・・なんだそれ・・・」
「ダメですか?」
「・・・いいよ」

苦笑する石川に岩瀬は微笑んで―そしてシャワーへと手を伸ばす。
そして・・・

「ちょと、目を閉じてくださいね」
「うん」

素直に目を瞑る石川の髪を濡らす―

「お客さん、湯加減は如何でしょう?」
「ぷっっ・・・今度はなんだ?」
「え?美容院のマネ・・・」
「あっははは!」
「はいはい。で、湯加減はどうですか?」
「うん。丁度いいよ」
「それはよかった!じゃあ、かゆいところは?」
「ふふ・・・ないよ」
「じゃあ、流しますからね」
「うん」
「悠さん・・・」
「うん?」
「年が開けたら、今回いけなかった旅行・・・行きましょうね?」
「そうだな・・・」
「いつがいいですかね・・・?」
「うーん・・・」
「一月は新年だし。三月は年度末だし・・・」
「やっぱり二月かな・・・?」
「そうですね」
「二月の・・・最初に行こうか・・・」
「悠さん?」
「基寿・・・今度は絶対に行こう・・・な・・・」

石川は連日の疲労からか、髪を洗っている間に眠くなったようで・・・まどろみに落ちている。そんな石川の額にそっと口付けを落とした岩瀬は日々、増えていく『約束』に微笑んで。湯舟から石川を抱き上げた―
そして、ベットへと、そっと降ろし・・・

「お疲れ様でした、悠さん・・・今夜はゆっくり休んでくださいね。クリスマスのプレゼントは―また明日・・・」

聞こえているはずの無い石川だが・・・柔らかく微笑んだような気がした―



クリスマスまであと1日―






2006.12.24 UP